年金を受給できるかを見るための受給資格期間に関してですが、国民年金の保険料納付済期間・免除期間・学生納付特例期間・若年者納付猶予期間と厚生年金被保険者期間、共済組合期間、合算対象期間が存在し、これらを合わせて25年以上の期間があれば受給資格を得られることになります。
※ただし、特例措置による特別支給の老齢厚生(退職共済)年金の受給権があった場合は、25年の要件を満たしていなくても受給が可能。(今回は年金機能強化法での10年の短縮措置に関しては考慮しません)
保険料納付済期間に関してですが、保険料納付済期間とは国民年金の1号被保険者期間(任意加入を含む)のうち、保険料が納付済の期間(保険料免除期間は除きます)と、第2号被保険者期間及び第3号被保険者期間を合算した期間になります。
では第1号被保険者期間とはどの期間を指すかというと
ⅰ 昭和61年4月1日以後に第1号被保険者期間(任意加入を含む)として保険料を納付した期間
ⅱ 昭和61年3月31日以前に国民年金の被保険者(任意加入を含む)として保険料を納付した期間(沖縄措置政令で保険料納付済期間とみなされた期間を含む)
上記の2つの保険料納付がある場合は第1号被保険者期間となります。
※前納制度を利用しているときは、前納分がすべて即時に保険料納付済期間となるわけではなく、前納に係る各月が経過したときに算入になります。つまり実際の期間の経過が無ければ保険料納付済期間にならないということです。
次に第2号被保険者期間とはどの期間を指すかというと
ⅰ 昭和61年4月1日以後の第2号被保険者期間であった期間(次の期間を除く)
一 20歳未満及び60歳以上の期間(合算対象期間となる)
二 厚生年金保険の被保険者の保険料または農林漁業団体職員共済組合の組合員の掛け金を徴収する
権利が時効により消滅し、保険料等が納付できなかった期間
ⅱ 昭和36年4月1日から昭和61年3月31日までの被用者年金制度の加入期間(次の期間を除く
)
一 20歳未満及び60歳以上の期間(合算対象期間となる)
二 厚生年金保険または船員保険の被保険者の保険料あるいは農林漁業団体職員共済組合の掛金を徴
収する権利が時効によって消滅し、保険料等が納付できなかった期間。
上記の保険料納付がある場合は第2号被保険者期間となります。
※被用者年金制度の加入者(被保険者または組合員)とは?
ア 厚生年金の被保険者期間(船員保険、沖縄措置法のみなし期間を含む)
イ 国家公務員共済組合の組合員期間(沖縄措置法令のみなし期間、国共済施行法によるみなし期間
【昭和58年改正前の旧公共企業体職員等共済組合の組合員期間等】、昭和60年改正前の旧船員
組合員期間を含む)
ウ 地方公務員共済組合の組合員期間(沖縄措置法例のみなし期間、地共済施工法によるみなし期間
【旧市町村共済組合の組合員期間及び年金条例職員期間等】、昭和60年改正前の旧船員組合員期
間を含む)
エ 私立学校教職員共済の加入者期間(沖縄措置法例のみなし期間を含む)
オ 農林漁業団体職員共済組合の組合員期間(沖縄措置法例のみなし期間を含む)
上記の場合が被用者年金制度の加入者となります。
補足として、厚生年金保険または船員保険の脱退手当金を受けている場合、昭和61年3月31日以前に受けた時は昭和61年4月1日から65歳に達するまでに保険料納付済期間か保険料免除期間を有したときは合算対象期間となり、それ以外は年金制度未加入となります。
昭和61年4月1日以後に受けた場合はすべて年金制度未加入期間となります。
更に、昭和61年3月31日以前の厚生年金保険の第3種被保険者(坑内員等)及び船員保険の被保険者並びに国家公務員等共済組合、旧公共企業体職員等共済組合及び地方公務員共済組合の旧船員組合員の期間は、実際の被保険者期間を3分の4倍した期間になります。
昭和61年4月1日から平成3年3月31日までの厚生年金保険の第3種被保険者期間並びに国家公務員等共済組合及び地方公務員等共済組合の新船員保険組合員の期間は、実際の被保険者期間を5分の6倍します。
次に第3号被保険者期間ついてです。
昭和61年4月1日以後の第2号被保険者の配偶者である第3号被保険者であった期間は保険料納付済期間となります。
但し、この第3号被保険者は市町村役場で届出を行わなければ被保険者の資格を取得できません。
届出が遅れた場合、届出をした日の属する月の前々月(平成3年4月までに届出を行った場合は届出をした日の属する前月の直近の基準月(1月、4月、7月及び10月)の前月)までの2年間は第3号被保険者期間とみなされますが、それより以前は保険料納付済期間とされていませんでした。
この未納期間(3号未納期間)は、平成16年改正により平成17年4月1日前に3号未納期間を有する人について、第3号被保険者の未納期間に係る特例届出(3号特例届出)により、届出日以降、保険料納付済期間に算入されることになっています。
平成17年4月1日以降に3号未納期間を有する人については、やむを得ない事由があると認められるときは、届出日以降、保険料納付済期間に算入されることになります。
昭和60年4月1日以降に何らかの公的年金制度に加入し保険料を納付していた20歳以上60歳未満の期間は、すべて保険料納付済期間として、老齢基礎年金の算定対象とされていますが、この3号被保険者の期間に関しては各種届出行為が保険料納付行為と同様とみなすため、届出の遅れによって保険料納付済期間に含まれない期間の発生があることに特色があります。
以上、1号・2号・3号期間の定義を述べましたが、これを覚えるのは難しいですので、まずは第1号被保険者は主に自営業者に対して、第2号被保険者は会社員や公務員に対して、第3号被保険者は第2号被保険者の配偶者に対して適用される制度であることを頭に入れておかれると宜しいかと思います。
なお、保険料納付済期間に関しては、次のようなケースのときに保険料納付済期間にならない場合が存在します。
ⅰ 脱退一時金(短期在留外国人の脱退一時金)の計算基礎となった被保険者期間
⇒年金制度は外国人であっても日本に居住している場合は一定の場合を除いて強制加入となりますが、この加入期間は本人が帰国した場合に年金に 結び付かない事が少なくありません。そこで本人の希望により年金加入期間に応じて一時金として支給されるものを脱退一時金といいます。
ⅱ 特別一時金が支給された期間
⇒厚生年金保険及び共済組合等の障害年金受給権者は、昭和60年改正前は国民年金は任意加入であり、資格期間を満たした場合は国民年金からも老齢(通算老齢)年金を受給する事が可能でした。60年改正後は1人1年金が原則となった為、障害年金と老齢年金の選択受給となり任意加入者は保険料の掛け捨てになってしまう事を避ける為、昭和61年4月1日において厚生年金保険、共済組合等の障害年金、障害基礎年金(従前の障害福祉年金)の受給権者は当該年金の受給権を取得した日の属する月の直近の基準月から昭和61年3月31日までの期間について国民年金の保険料納付済期間がある人が請求できます。
ⅲ 第2号被保険者としての被保険者期間のうち、20歳前の期間及び60歳以上の期間(合算対象期
間となる)
ⅳ 第2号被保険者としての被保険者期間のうち、厚生年金保険に係るもので保険料を徴収する権利が
時効消滅した期間及びその人の配偶者の当該第3号被保険者としての被保険者期間
上記の様な場合は被保険者期間となりませんので注意して下さい。
また、昭和61年4月1日前の期間は基本的に
ⅰ 昭和61年4月1日前の国民年金の被保険者であった期間(任意加入含む)は、昭和60年改正以
後の国民年金法の適用については、国民年金の被保険者期間とみなし、旧国民年金法において保険料
納付済期間及び保険料免除期間とされていた期間は、それぞれ保険料納付済期間、保険料免除期間と
なります。
ⅱ 厚生年金保険及び船員保険の被保険者期間並びに共済組合等の組合員期間及び私学共済の加入者期
間のうち、昭和36年4月1日から昭和61年4月1日前の期間(20歳未満及び60歳以上の期間
を除外)は、受給資格要件、繰上げ請求及び年金額の計算の適用については、保険料納付済期間とな
ります。
坑内員と船員は前回少し述べましたが、厚生年金保険の第3種被保険者とされており、被保険者期間に関しては昭和61年3月以前の期間は3分の4倍、昭和61年4月から平成3年3月までは5分の6倍、それ以後は一般の被保険者と同様の扱いとなっています。
但しこの3種被保険者の扱いは、被保険者期間ですので受給要件を見るのに期間を延ばしてみる扱いであり、年金額の計算は実際の加入期間になりますので注意して下さい。
※厚生年金保険の被保険者の種別とは?
現在とは異なり以前の厚生年金保険では、個人に応じて種別に分けられていました。
その種別ですが
ⅰ 第1種被保険者 男子である被保険者であって、第3種・第4種・船員任意継続被保険者以外の者
ⅱ 第2種被保険者 女子である被保険者であって、第3種・第4種・船員任意継続被保険者以外の
者
ⅲ 第3種被保険者 鉱業法(昭和25年法律289号)4条に規定する事業の事業場に使用され、か
つ、常時坑内作業に従事する被保険者または船員法1条に規定する船員として法6条1項3号に規定
する船舶に使用される被保険者であって、第4種・船員任意継続被保険者以外の者
ⅳ 第4種被保険者 任意継続被保険者
Ⅴ 船員任意継続被保険者
厚生年金保険は上記の様に種別分けされ、保険料、被保険者期間の計算、年金の支給開始年齢等の扱いが異なっていたため、経過措置を設けているということです。
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