国民年金保険料の免除について

免除には法律で定められた一定の条件に該当する場合に届出を行う事で当然に免除される法定免除と、所得が一定額以下であり保険料の納付が困難と認められる場合に免除になる申請免除があります。

まず法定免除に該当するのは次のケースです

①国民年金や厚生年金、共済年金から障害年金(1級、2級)を受けている場合。

 ※注意点として厚生年金・共済年金には3級も存在しますが、初めから3級の場合には免除に該当せず、1級・2級から3級に障害状態が変更になった場合のみが3級の者が免除を受けられるケースになります。逆にいえば3級にも該当しなくなった場合には免除事由の消滅になります。

②生活保護法による生活扶助、ハンセン病問題の解決の促進に関する法律による援護(廃止前のらい予防法廃法によるによる援護を含む)を受けるとき。

③ハンセン病療養所等、国立保養所、その他厚生労働大臣が指定する施設(独立行政法人国立病院機構箱根病院)に収容されているとき

上記に該当する場合は、住民票の存在する市区町村の国民年金担当窓口へ届出をすることで保険料の全額を法定免除で受ける事が出来ます。

次に申請免除に関してです

日本年金機構に申請を受理され前年所得等を審査され承認を受けた場合、指定する期間の保険料の全額または一部が免除されます。

要件ですが

①前年(または前々年)の所得が政令で定める額以下であるとき

②被保険者または同一世帯の他の世帯員が生活保護法による生活扶助以外の扶助等を受ける時

③地方税法に定める障害者または寡婦であって、年間の所得が政令で定める額(125万円)以下であるとき

④保険料を納付することが著しく困難な場合として、天災により一定以上の損害を受けたとき、失業により保険料を納付する事が困難と認められるとき(特例による免除)

※特例による免除とは東日本大震災によるものを指しますが、既に申請期間は過ぎております。

上記の条件により免除される額が決められますが、その範囲は全額免除、3/4免除、半額免除、1/4免除の4種類となります。

注意点はこの申請免除に該当するとその範囲に応じて保険料が免除になりますが、将来の年金の額は免除の額に応じて減額される事になります。

このため、免除から10年の範囲であれば免除された保険料を納める事で減額された分が年金額に反映される追納の制度があります。

追納制度を利用する時は期間に応じて一定の利息が課せられる点と、以前に述べた後納制度とは全く異なる制度であることに注意して下さい。

さらに免除されるといっても一部免除の場合は免除額以外の納付部分を納めない場合、保険料未納となる点にも注意して下さい。

国民年金保険料の免除を受けた場合は、そのまま老齢年金等の額に反映されるわけではなく、免除割合に応じて年金額が減額されることになります。

給付割合は具体的には、平成21年3月までは全額免除は3分の1、4分の3免除は2分の1、半額免除は3分の2、4分の1免除は6分の5の額が給付額に反映されます。

平成21年4月以降は全額免除は2分の1、4分の1免除は8分の5、半額免除は4分の3、4分の1免除は8分の7が給付額に反映されます。

時期によって異なっている理由は、国庫の年金への支出金の割合が21年3月以前と4月以降で異なっているのが理由です(21年以降に国庫負担の割合が増額されている)。

その為、免除された期間によって年金の額が異なることを頭の片隅にでも置かれているとよろしいかと思います。

この他に本来の免除とは別に特殊な2つの制度があります。

1つは学生の保険料納付特例です。

学生は基本的に所得がないことが多いため、本人が保険料を納めることが難しいことがあります。

以前に平成3年~平成11年末まで学生免除制度が存在しましたが、これは世帯主の所得をもとに決定される制度のため、免除を受けられないケースも存在していました。

そこで、世帯主ではなく本人の所得に基づいて一定の条件に該当することで免除が受けられる学生納付特例が設けられています。

この制度の申請を行うと保険料が免除されるとともに、不慮の事故により死亡や障害を負った場合に、保険料免除期間と同様に扱われるため障害基礎年金や遺族基礎年金の受給資格がある場合は受給することができます。

但し、免除期間とは異なり老齢基礎年金の受給資格期間、いいかえると年金の受給資格を見る期間には算入されますが、実際の年金額には反映されないので注意が必要です。

この場合、後で述べますが年金額に反映したいときは追納する必要があります。

申請は市町村の国民年金窓口か、平成20年4月から在学する大学の窓口でも可能になっています。

若年者納付猶予制度とは、就職が困難である場合や失業中で低所得者である若年者(30歳未満)が、将来、無年金・低年金となることを防止するため、同居している世帯主の所得にかかわらず保険料納付を猶予する制度として平成17年4月に創設されたものです。

対象となる本人所得の額は全額免除と同様になっており、申請を行った日から保険料の全額の納付が猶予されます。

但し、この若年者納付猶予は平成27年6月までの時限措置となっており期間が限られていることと、学生納付特例と同様に障害基礎年金と遺族基礎年金の受給資格がある場合は支給されますが、老齢基礎年金の場合には受給資格期間にはなりますが年金額の算定基礎にはならないことに注意が必要です。

 

※若年者納付猶予は期限が平成37年6月まで伸長されており、平成28年6月までは30歳未満、平成28年7月以降は50歳未満が対象となります


つまりこの制度では保険料はあくまで納付が猶予されているのであり、年金額に反映させたい場合は追納の手続きが必要になります。

ではその追納に関してですが、免除期間・学生納付特例・若年者納付猶予の各制度を受けている場合に年金額に反映されない部分が出てくることは先に述べたとおりですが、より高額の年金を受給したい場合は追納の制度を利用することが出来ます。

この追納は、追納が承認された月の前の10年以内の上記の各期間に限られます。

さらに免除等の承認を受けた期間の翌年度から起算して3年度以降に納付の場合は、当時の保険料額に経過期間に応じて決められた加算率を乗じて得た額を加算した額を納付することになります。

納付の順番は学生納付特例から納付し、次いで免除期間の保険料の納付を行い、これらの保険料のうち、先に経過した月の分から順次納付することになります。

但し、学生納付特例期間より前に免除期間がある場合は、先に経過した免除期間から保険料を納付も可能です。

若年者納付猶予は学生納付特例期間にみなされるので、同順位の取り扱いまたは読み替えることになります。

免除・学生納付特例・若年者納付猶予の申請をした場合は、年金額に反映されない部分があることを頭に入れておいて、将来の年金額に反映させたいときは早めに追納の手続きをするとよいでしょう。