合算対象期間について

合算対象期間とはどういうものかと言うと、受給資格期間としての期間に参入はするが、年金額算定の基礎とはされない期間であることから通称カラ期間と称されるものです。

参考として日本年金機構がYouTubeでカラ期間について解説していますので参考にされると良いでしょう。

では実際にどの期間を指すのかというと、

①国民年金に任意加入できた人が任意加入しなかった期間

 ⅰ 海外在住の年金制度未加入の日本人の20歳以上60歳未満の期間
 ⇒海外在住の者が国民年金に加入できるようになったのは昭和61年4月からであり、それ以前の年
 金制度が成立した昭和36年4月1日から昭和61   年3月31日までは適用除外とされていた
 ため、この期間を合算対象期間として扱う様になっています


 ⅱ 昭和36年4月1日から昭和61年3月31日までの間に、次の制度の老齢(退職)、障害また
  は遺族のいずれかの給付の受給権者であった、20歳以上60歳未満の期間(老齢(退職)給付の
  受給権者については、昭和61年4月1日以後の期間も含まれます。)


 ア 厚生年金保険
 イ 船員保険
 ウ 各共済組合
 エ 恩給
 オ 執行官の年金
 カ 国会議員互助年金
 キ 旧令共済組合の年金
 ク 地方公務員の退職年金に関する条例に基づく年金
 ケ 戦傷病者戦没者遺族等援護年金(障害、遺族給付のみ)
 コ 未帰還者留守家族等援護年金(遺族給付のみ)

上記ⅱに該当する場合は、老齢(退職)給付受給権者は昭和36年4月1日から60歳に到達するまでの期間、それ以外の者は昭和36年4月1日から昭和61年3月31日までの期間が合算対象期間となります。

なお、昭和61年4月より障害等級3級を除く障害給付の受給権者は、国民年金の保険料納付が届出によって免除される法定免除に該当する事にも合わせて留意して下さい。

 ⅲ 前期ⅱのアからクまでの老齢(退職)給付を受けるのに必要な期間を満たしている人の昭和36
  年4月1日から昭和61年3月31日までの60歳未満の期間


 ⅳ 次のアからウまでの人の配偶者であった期間のうち、昭和36年4月1日から昭和61年3月3
  1日までの20歳以上60歳未満の期間(所得の状況は不問)

 
  ア 被用者年金制度(厚生年金保険、船員保険、各共済保険、地方公務員の退職年金に関する条例
   に基づく年金)の加入者(被保険者期間または組合員等)

  イ 前記ⅱのアからクまでの制度の老齢(退職)または障害給付の受給賢者
  ウ 前記ⅲの人

 Ⅴ 昭和36年4月1日から平成3年3月31日までの学生であった期間のうち、20歳以上60歳
  未満の期間


 ※ 学生であった期間とは、次の期間のうち定時制(夜間制)及び通信制の学部に在籍していた期間
  を除いた期間となります。


 A 高等学校または盲学校・ろう学校・養護学校の高等部の生徒であった期間
 B 大学、短期大学または大学院の学生であった期間
 C 高等専門学校の学生であった期間
 D 各種学校のうち、次のものを養成するための学校の生徒であった期間(昭和61年4月1日以降
   のものに限る)

  a あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師 
  b 理容師 
  c 栄養士 
  d 保健師・助産師・看護師・准看護師 
  e 歯科衛生士 
  f 診療放射線技師
  g 歯科技工士
  h 美容師
  i 臨床検査技師・衛生検査技師
  j 理学療法士・作業療法士
  k 製菓衛生士
  l 柔道整復師
  m 視能訓練士

 カ 昭和55年4月1日から昭和61年3月31日までの国会議員であった期間のうち60歳未満の
  期間、昭和37年12月1日から昭和61年3月31日までの地方議会議員であった期間のうち6
  0歳未満の期間

 ⇒他の年金制度の加入者や受給権者(国民年金以外で年金権が保障されている)、その配偶者(世帯
 全体での年金保証の確立)、学生(本人に概ね負担能力が欠如しているため)は原則適用除外で任
 意適用であったため、過去の適用適用除外の期間が長期に渡る人について合算対象期間として扱い年
 金権の確保を図っている。

②昭和61年3月31日以前に国民年金から任意脱退していた20歳以上60歳未満の期間

⇒基礎年金制度導入前は、国民年金に任意脱退の制度が存在していました。このとき任意脱退した場合は通算対象期間に算入されませんでしたが、基礎年金制度導入後は1人1年金、年金権確保という観点からこの期間も合算対象期間としています。

③昭和61年3月31日までに厚生年金保険または船員保険の脱退手当金を受けた人が昭和61年4月1日から65歳に達するまでの間に保険料納付済期間または保険料免除期間を有する事になった場合の、脱退手当金の計算の基礎となった期間のうち昭和36年4月1日以後の期間
⇒厚生年金保険または船員保険の脱退手当金を受けた人についても老齢基礎年金の年金権を保障する必要があるため、脱退手当金の計算の基礎となった期間は合算対象期間となりますが、昭和61年4月1日以後に脱退手当金を受けた場合は基礎年金制度導入後という背景があるため、年金制度未加入期間となります。

④各共済組合の退職一時金(基礎額の全部を支給されたもの)を昭和54年12月31日までに受けた人が65歳に達するまでの間にその一時金を返還していない場合の、退職一時金の計算の基礎となった期間のうち昭和36年4月1日以後の期間
⇒共済組合が支給した退職一時金を受けた人についても老齢基礎年金の年金権を保障する必要があるため、退職一時金の計算の基礎となった期間は合算対象期間となります。

⑤国会議員であった昭和36年4月1日から昭和55年3月31日までの期間のうち、60歳未満であった期間
⇒国会議員は、昭和36年4月1日から昭和55年3月31日までの間は国民年金から適用除外であり、任意加入もできないことになっていました。その後昭和55年4月1日から任意加入が可能となり、昭和61年4月からの基礎年金制度導入後は強制加入になっています。このため国会議員にも年金権を保障するため、上記の期間は合算対象期間とされています。

⑥日本国内に住所がない人の、日本国籍を有していた期間のうち、昭和36年4月1日から昭和61年3月31日までの20歳以上60歳未満の期間
⇒国民年金の発足当時は海外居住者の場合、日本国籍を有している場合であっても適用対象から除外され、昭和36年4月1日から昭和61年3月31日までは任意加入もできませんでした。昭和61年4月1日の基礎年金導入からは任意加入が可能となったため、海外在住期間に応じて年金受給が左右されないように合算対象期間としています。

⑦外国人または外国人であった人の次の期間

 ⅰ 日本国籍を取得した人または永住許可を受けた人などの在日期間で、国民年金の適用除外とされ
  ていた昭和36年4月1日から昭和56年12月31日までの20歳以上60歳未満の期間


 ⅱ 日本国籍を取得した人または永住許可を受けた人などの昭和36年4月1日から日本国籍を取得
  した日または永住許可を受けた日の前日までの20歳以上60歳未満の海外在住期間

 ⇒国民年金は昭和36年4月1日から昭和56年12月31日までの間は、日本国民以外は加入でき
 ませんでした。しかし昭和57年1月1日以後は日本国内に居住している場合は、被用者年金制度に
 加入してなければ全ての者が国民年金に加入が可能となりました。これを踏まえて、日本国民でない
 ことにより適用除外とされた期間は合算対象期間とされるとともに、後に日本国内に住所を有するこ
 とになる人の事を考慮して、海外在住期間であった場合も合算対象期間とされることになっています

⑧第2号被保険者であった期間のうち、20歳未満及び60歳以上の期間

⇒老齢基礎年金の額は、全ての人が平等に昭和36年4月1日以後であって20歳以上60歳未満の期間を基礎として計算する必要があります。そのため、第2号被保険者期間としての保険料納付済期間を計算する場合や被用者年金制度の加入期間を保険料納付済期間に算入する場合は、公平を期する必要性がある事からこの期間を合算対象期間とする事にしています。

※老齢基礎年金の年金の支給は、1号被保険者の保険料(=国民年金保険料からの基礎年金拠出金)と被用者年金制度からの基礎年金拠出金および国庫負担でまかなわれています。この基礎年金拠出金から被用者年金制度の上記の期間は費用負担の公平性から拠出金の算定対象から除外されています。また、この期間は老齢基礎年金の額の算定対象ではありませんが、同様の額が各被用者年金制度から経過的加算として支給されます。

⑨通算対象期間のうち、昭和36年4月1日前の期間
⇒厚生年金保険及び船員保険の被保険者期間については、昭和36年4月1日以後に国民年金以外の公的年金制度に加入した場合あるいは国民年金の保険料納付済期間または保険料免除期間を有した場合に限って合算対象期間に算入されます。但し、この期間と昭和36年4月1日以後の被保険者期間をあわせて1年に満たない場合は算入されません。
 各共済組合の場合は、昭和36年4月1日をはさんで引き続き加入している場合に限り算入されますが、資格喪失までの引き続く組合員期間が1年未満の場合は算入されません。

※昭和36年4月1日をはさんで引き続き共済組合に加入していた場合で、昭和36年4月以後に共済組合から退職一時金を受けた期間は共済組合の加入期間として扱いますが、昭和55年1月1日以降に共済組合から退職一時金を受けた期間は組合員期間として扱わないことになっています。

⑩昭和36年4月1日前の厚生年金保険および船員保険の被保険者期間であって通算対象期間とされなかった期間を有する人が、昭和61年4月1日以後に保険料納付済期間または保険料免除期間を有した場合のその昭和36年4月1日前の期間
⇒昭和36年4月1日から昭和61年3月31日までの間に通算対象期間とされなかった昭和36年4月1日前の厚生年金保険及び船員保険の被保険者期間は昭和61年4月1日以後に保険料納付済期間または保険料免除期間を有した場合は合算対象期間とされています。ただし、昭和61年4月1日以後の厚生年金保険の被保険者期間と合わせて1年に満たない場合は合算対象期間とはなりません。

⑪各共済組合の組合員期間のうち、共済組合が支給する退職年金または減額退職年金の額の計算の基礎となっている期間
⇒昭和61年3月31日以前に退職した各共済組合の組合員は昭和60年改正法による改正前の旧法の退職年金または減額退職年金の受給権を取得していますが、このうち昭和61年4月1日に55歳未満の人(昭和6年4月2日以後に生まれた人)は新法である老齢基礎年金の支給対象者になります。ただし、すでに退職年金または減額退職年金の額の計算の基礎となっていた組合員期間については保険料納付済期間には算入されず、合算対象期間とされます。

⑫昭和36年4月1日から昭和61年3月31日までの被用者年金制度の加入期間のうち、20歳未満の期間
⇒⑧と同様の趣旨で合算対象期間となります。

※第2号被保険者期間としての保険料納付済期間は20歳以上60歳未満の期間に限ることとされ、また昭和61年4月1日以前の被用者年金制度の加入期間を保険料納付済期間に算入する場合においては昭和36年4月1日以後であって20歳以上60歳未満の期間の限ることとされ、上記⑧~⑫に掲げる期間については合算対象期間となります。

※合算対象期間は、対象15年4月2日以後に生まれた人(昭和61年4月1日において、60歳未満であるが、旧厚年法の老齢年金等の受給権を持っていた人、または55歳以上60歳未満で昭和61年4月1日において共済組合が支給する退職年金等の受給権を持っていた人は除きます。)が適用対象者になります。なお、大正15年4月1日以前に生まれた人及び昭和61年4月1日において60歳未満であるが、その前日において旧後年法の老齢年金等の受給権を持っていた人、または55歳以上60歳未満で共済組合が支給する退職年金等の受給権を持っていた人は、旧通算年金通則法による通算対象期間が適用されます。
⇒通算対象期間ですが、昭和61年3月以前には国民年金や厚生年金保険など異なる制度に加入した期間を通算して一定期間以上であれば各年金制度からそれぞれの加入期間に応じた年金を支給する仕組み(通算年金制度)が存在していました。その際に通算の対象となる期間を通算対象期間と呼びます。

※学生の範囲に関してですが、平成3年3月以前には20歳以上の昼間部の学生は国民年金に任意加入となっていましたが、夜間・定時制・通信制の学生は強制加入となっていました。このため、平成3年3月以前の期間について夜間・定時制・通信制の学生は合算対象期間になりません。なお、平成14年4月から学生納付特例について夜間・定時制・通信制の学生も対象者となっています。

※合算対象期間の計算については、一般の国民年金の被保険者期間の例によるものとされています。ただし、一つの月が2以上の合算対象期間の規定に該当する場合は、最も有利な1期間に限り合算対象期間とします。また、合算対象期間の規定に該当する月が同時に保険料納付済期間または保険料免除期間となっている場合は、合算対象期間とはされません。なお、坑内員または船員の期間の計算についても保険料納付済期間の計算と同様、実際の被保険者期間を3分の4倍または5分の6倍することになっています。