障害年金と他の年金

 年金は老齢年金、障害年金、遺族年金などの年金に分かれていますが、場合によってはこれらの年金の受給権を複数取得する場合があります。

 

 その場合であっても現在、年金を受給する場合の原則は1人1年金となっており、原則として支給事由が異なる年金は同時に受給することは出来ません。

 

※支給事由が同一である場合には併給は可能です。例えば障害基礎年金と障害厚生年金は同一事由による給付といえますのでこちらは併給可能となります。

 

 例えば、65歳前に特別支給の老齢厚生年金の他に障害年金の受給権を持っている場合であっても、両者の支給事由が異なるために併給することはできません。

 

 このため、このケースでは様々な内容を考慮して受給が有利となるような併給選択をする必要があります。

 

※併給選択を検討する場合は、通常、年金額が大きくなるように選択を行いますが、傷病手当金や基本手当を受給していたり、税額等の関係で年金額が高いものを選択することが必ずしも有利ではない場合があるため注意を要します。

 

 但し、年金受給者が65歳に到達した場合には他年金との併給が可能となる場合があります。

 

 例えば老齢厚生年金と老齢基礎年金、障害基礎年金と障害厚生年金の受給権を有している方が65歳になった場合には次の3パターンの選択が出来ます。

 

ア.老齢基礎年金+老齢厚生年金

 

イ.障害基礎年金+障害厚生年金

 

ウ.障害基礎年金+老齢厚生年金

 

 アとイは通常通りの同一支給事由による選択、ウが障害年金と老齢年金の選択パターンとなります。

 

 このケースでは基本的には年金額が高額のものを選択することになりますが、障害年金は非課税であること、障害基礎年金を受けられる場合は障害等級2級以上であり、老齢基礎年金の満額と同等以上であるということを考慮すると、通常はイかウを選択することになります。

 

 なお、上記のケースで他に遺族厚生年金の受給権がある場合には、障害基礎年金と遺族厚生年金の併給も可能となっているため更に慎重に選択が必要となります。