傷病手当金と障害年金

 障害年金を受給するには原則として初診日から1年6ヶ月を経過した日である障害認定日を経る必要がありますが、これを前提とすると障害認定日が到来するまでの期間は老齢年金や遺族年金等の他の年金給付を受けている場合を除いて年金給付による所得補償を受けることができない空白の期間が生じることになってしまいます。

 

 その制度上の空白期間を埋める給付として健康保険による傷病手当金があり、傷病手当金は最長で1年6ヶ月の期間受給することができるため、この傷病手当金を受給することによって所得補償の空白期間を埋めることが可能となっています。

 

※傷病手当金は健康保険独自の制度であり、自営業等と異なる独自の収入源がない労働者のための制度です。そのため、一部の例外を除いて国民健康保険については傷病手当金がないという点に注意を要します。

 

 このため、通常は傷病手当金による所得補償を受けながら障害認定日に到達した時点で障害年金を請求し障害年金に切り替えるという流れが一般的ではありますが、障害認定日の特例等により障害年金と傷病手当金を同時に受給することが可能な場合があります。

 

 但し、障害年金と傷病手当金を同時に受給できる場合では、傷病手当金は原則全額支給停止であり、障害年金と傷病手当金の額を比較して傷病手当金の額が障害年金を上回る場合にのみ差額支給が行われることになっています。

 

 また、老齢年金の場合には在職中は傷病手当金との支給調整はなされませんが、退職後も傷病手当金を受給する場合には上記の差額支給の考え方により老齢年金と傷病手当金も併給調整の対象となります。

 

 なお、傷病手当金との併給調整の考え方については、同一傷病が原因により傷病手当金と障害年金を受ける場合に調整対象となり、別傷病が原因の場合は併給調整の対象とはならないこととなります。