雇用保険による基本手当を受給する場合には特別支給の老齢厚生年金を併給することが出来ないことは既に触れた通りですが、実際にどのように支給停止がなされるかは次のようになります。
1.雇用保険の受給期間と所定給付日数の考え方
雇用保険の基本手当を受給できる期間は、原則として離職の日の翌日から起算して1年間と定められています。
また、基本手当を受けられる期間はその離職理由に応じて所定給付日数という形で決定され、各人により基本手当を受けられる期間は異なっています。
このため、受給期間と所定給付日数との関係で乖離が生じることになります。
例えば、所定給付日数が90日の方は、離職の日の翌日から1年間であれば受給開始の時期が離職の翌日から3ヶ月程度後であっても、離職の状態であれば基本手当の受給は可能となっています。
このことに関連して、特別支給の老齢厚生年金との関係では所定給付日数を受け終わっていない場合が問題となります。
雇用保険の基本手当と特別支給の老齢厚生年金の調整は、所定給付日数が終了するか受給期間が満了するかまで続きます。
これは上記のように離職の日の翌日から1年以内であれば基本手当を受給することは可能であることに起因します。
つまり、一旦、所定給付日数を受けないでいた場合でも、離職の日の翌日から1年以内であれば基本手当を受給することが可能なため、所定給付日数を受け終わるまでは基本手当の調整が終了できないことを意味しています。
このため、何らかの理由で基本手当を受けないことにしようとした場合でも、厚生年金被保険者として再就職する等でない限り、原則として離職の日の翌日から1年を経過するまでは基本手当との調整を免れることは出来ませんので注意が必要です。
上記の理由により、自分で考えている以上に特別支給の老齢厚生年金の支給停止期間が長期化することがあり得るため、基本的には所定給付日数が終了するまで基本手当を受給することが重要であるといえます。