在職支給停止における支給調整額の算出について③

【65歳以上の在職支給停止】

 

1.70歳未満の在職支給停止について

 

 65歳未満の在職支給停止については、特別支給の老齢厚生年金に定額部分を加算される方の場合はその定額部分を含めて支給調整額が算出されるのに対し、65歳以降の老齢年金は老齢基礎年金と老齢厚生年金に分かれて支給され、老齢基礎年金は国民年金法による給付のため、在職支給停止の支給調整額の算出の基礎とならない点で定額部分の扱いと大きく異なります。

 

 また、老齢厚生年金に付加して支給されることがある経過的加算額についても老齢基礎年金に準ずる給付であるという理由からこの部分についても支給調整額の算出の基礎とはなりませんし、加給年金が付加される場合も本人の被保険者期間による老齢厚生年金額とは異なるという位置付けから同様に支給調整額の算出の基礎とはなりません。

 

※加給年金については、老齢厚生年金額が在職支給停止により全額支給停止となる場合には支給されないことになり、その意味では老齢厚生年金の給付と連動しているといえます

 

 言い換えると、65歳以降の在職支給停止を算出する基準は本人の老齢厚生年金部分のみであり、報酬比例部分のみが在職支給停止にかかることになります。

 

 なお、65歳以上の在職支給停止の基準額は46万円となりますが、65歳未満の在職支給停止額の算出式とは異なり次のようになります。

 

※在職支給停止額の基準額については、現在は65歳未満では28万円、65歳以上は46万円となっていますが、この額は一定ではなく毎年見直され変動する可能性があるため注意が必要です

 

 【基本年金月額-(総報酬月額相当額+基本年金月額-47万円)×1/2】

 

 上記の算出式を一言でいえば総報酬月額相当額と基本年金月額を合算して47万円を引いた額の1/2が支給停止の対象となることになります。