厚生年金基金とは①

 厚生年金保険独自の制度として厚生年金基金制度がありますが、厚生年金基金とは一言でいえば国の公的年金制度を利用した企業年金制度ということになります。

 

 厚生年金基金の仕組としては、まず、代行部分と呼ばれる本来国から支給されるべき老齢厚生年金(特別支給の老齢厚生年金)部分について厚生年金基金が預かり、その預かった資産を運用して加算部分と呼ばれるプラスアルファを生み出し、上乗せするための原資を生み出すという仕組みになっています。

 

 つまり、本来国が支払うべき部分を代行部分として厚生年金基金が支払い、加算部分を上乗せして支払うことになっているため、従来の厚生年金被保険者より手厚い給付を受けることが出来るという点で企業年金としての性質を有していることになります。

 

 しかし、厚生年金基金制度が全盛だった頃は、預貯金の金利が非常に高かったためリスクをそれほど負わずに運用成績を上げることも比較的容易でしたが、現在の金利は非常に定額となっており、狙った通りの運用成績を上げることが難しくなってきていること、運用に伴うリスクにより損失が発生した場合には、厚生年金基金は確定給付企業年金の性質を有しているため加入企業で損失を穴埋めしなければならない等の弊害が大きくなってきたため、現在は新たな厚生年金基金の創設が出来なくなっています。

 

 そのため、企業年金の役割を有していた厚生年金基金に代わり、確定拠出年金等の様々な制度が創設されています。

 

 現実的には、年金および企業における一定の退職給付だけでなく、個人における自助努力が大きく求められる時代に変化しているといえます。