65歳からの老齢厚生年金の支給について②

 特別支給の老齢厚生年金の支給の内訳は、老齢基礎年金に相当する定額部分と老齢厚生年金に相当する報酬比例部分に分けることが出来ますが、「相当する」といっているようにこれらは全て同じではありません。

 

 年金額の計算式が同じという関係上、特別支給の老齢厚生年金の報酬比例部分は老齢厚生年金と連動しますが、特別支給の老齢厚生年金の定額部分の計算式と老齢基礎年金の額の計算は同様ではありませんので年金額が一致せず、定額部分の方が年金額が多いため老齢基礎年金との差額が生じるという問題点が生じます。

 

 この問題点を解消するために経過的加算(差額加算)という考え方がとられています。

 

 国民年金が強制加入となるのは20歳から60歳までとなっており、老齢基礎年金の額というのはこの40年間においてどれだけ国民年金若しくは厚生年金保険に加入するかで決まってきますが、この期間内で計算した定額部分の額と老齢基礎年金の額には差が生じますので、この差の部分について経過的加算がなされるということになります。

 

 また、国民年金とは異なり厚生年金保険における被保険者資格については10代から加入が可能であり上限が70歳となっています。

 

 このため、本来は20歳前や60歳後の厚生年金被保険者期間は老齢基礎年金額には反映されないということになるのですが、経過的加算において老齢基礎年金額の補填がなされるような仕組みとなっています。

  

 なお、経過的加算は定額部分に基づく支給となるので支給は厚生年金保険法による支給ということになり、厚生年金保険からの支給となるのですが、その性質は老齢基礎年金に準ずるものとなっているため、在職支給停止の対象とはならない等、少し特殊である点に注意する必要があります。