国民年金(老齢基礎年金)の繰上げにおける注意点とは?②

 老齢基礎年金の繰上げ請求についての注意点は次のような点も挙げられます。

 

③寡婦年金が失権する

 

 配偶者の死亡により寡婦年金の受給権が発生することがありますが、この寡婦年金は60歳から65歳までの有期年金であるため、老齢基礎年金の繰上げ請求をすると老齢基礎年金の受給に関しては65歳とみなされることと関連し寡婦年金が失権します。

 

 老齢基礎年金の繰上げ請求をすると寡婦年金が失権となり権利を喪失してしまうのであり、繰上げ支給の老齢基礎年金との選択関係とはならないことにならないため、受給開始年齢前に寡婦年金の受給権を取得している場合は特に注意が必要です。

 

 また、寡婦年金は平成29年8月1日より受給要件である相手方配偶者の国民年金第1号被保険者期間の必要月数が25年(300月)から10年(120月)に短縮されることもあり、より慎重な対応が必要であるといえます。

 

④障害基礎年金が原則請求出来なくなる

 

 国民年金の強制加入期間は20歳から60歳までですが、老齢基礎年金の支給開始年齢は65歳であり5年の空白期間があります。

 

 この65歳到達までの空白期間についても一定の障害状態に該当することにより障害基礎年金の請求を行なうことが出来ることになっていますが、老齢基礎年金の繰上げ請求を行った場合にはこの期間の間に一定の障害状態となったとしても原則として障害基礎年金の請求は出来ないことになります。

  

 原則といっているように条件によっては請求出来ることもあるのですが、その条件を満たすことは非常に難しくなり限定的となるため、この点において不利益を被る可能性があります。